2007年度

中国経済学会・学術研究会(西日本部会)

開催のお知らせ

 

                     学術研究会西日本部会世話人

山本有造(中部大学)

                         厳善平(桃山学院大学)

                         

中国経済学会会員各位

会員の皆様

 

第2回学術研究会西日本部会は下記のプログラムで開催します。奮って御参集頂きますようご案内申し上げます。

研究会の後、近くで懇親会を予定しております。そちらにもご参加ください。

世話人 山本有造 厳 善平

 

 

2007年中国経済学会学術研究会西日本部会プログラム

 

日時 20071215() 13:0017:00

場所 大阪駅前第2ビル6階(大阪市立大学大学院創造都市研究科)

   アクセスはhttp://www.gscc-uep.jp/link.html#accessでお調べください。

 

受付開始 12:30〜

開会のご挨拶:13:00〜13:10

南亮進会長(予定)、山本有造幹事(中部大学)

 

前半:13:1014:50

司会:加藤弘之(神戸大学)

 

第1報告 13:1014:00

報告者 滕 鑑(岡山大学)

討論者 金澤孝彰(和歌山大学)

テーマ 日系企業の経済活動と中国の産業構造の高度化

――「日系企業分析用中日国際産業連関表」による外生化モデル分析――

要旨】この研究の目的は、国際産業連関モデルを用いて中日経済の相互依存を数量的に分析し、中日経済関係のための政策的示唆を得ることである。そのために、1990-95-2000年接続中日国際産業連関表(実質)を推計したうえ、中国進出の日系企業の経済活動を明示的に取り入れて日系企業の経済活動を分析するための中日国際産業連関表(以下、日系企業分析用表)を開発した。本稿では日本の対中直接投資が日本経済、中国経済(日系企業の経済活動を除いた現地経済)に及ぼす影響を分析している。とくに、中国進出日系企業の経済活動の影響を外生化モデルによってシミュレーション分析を行い、外国直接投資と進出先国の産業構造の高度化との関係を数量的に解明している。

 

第2報告 14:0014:50

報告者 馮 俊(松山大学大学院)

討論者 王東明(摂南大学)

テーマ 対外証券投資自由化に関する中日比較分析

 【要旨】中国では、QDII制度導入に伴い、対外証券投資は条件付で自由化されることとなった。QDII制度はなぜ導入されたか?具体的にどういう制度なのか?今後はどうなるのか?中国の対外証券投資自由化のみならず、資本取引全体の規制改革・自由化を理解するため、対外証券投資に関する包括的な研究が必要ではないかと考えている。しかし、現在、日本では、これに関する研究はまだ少ない。

 高度成長期にあった日本と現在の中国を比較すれば(1)高度成長(2)国際収支の著しい改善(3)外貨準備急増(4)欧米からの自由化圧力等、多くの類似点を有する。両国の比較分析を通じて両国の自由化の異同点を整理した上で、現在、中国のQDIIの本質を明らかにすることがとても重要なことである。また、かつての日本も現在の中国と同様に漸進的な自由化アプローチを採用してきたため、日本の経験は中国にとって参考になると考えている。

 本研究は中日比較を通じて、(1)中国のQDIIはどういう制度なのか(2)日本の経験から何を学ぶべきか(3)今後はどうなるか、という三つの問題を解明することを目的とする。

 

休憩 14:50〜15:20

 

後半 15:20〜16:10

司会: 山本裕美(京都大学)

 

第3報告 15:20〜16:10

報告者 尾近正幸(弁護士法人フラーレン)

討論者:李捷生(大阪市立大学)

テーマ 中国の電気通信分野の特許出願動向から見た中国内外企業等の開発戦略

 【要旨】中国では通信事業は国策として国内産業として保護育成する一方で、会社分割など競争促進的な政策をとっており、様々な規制の下ではあるが、外資に対しても市場への参入を認めている。すなわち国営企業として中国電信の独占であった通信事業を1999年に同社の4分割を行い、固定電話会社としての中国電信のほかに中国移動通信、ページャー会社、中国衛星の3社を設立した。この分割前に設立されていた中国聯合通信にページャー会社は吸収され、また2002年には、中国電信が南北の業務エリアに分けて2社に分割され北部を中国網通が、南部を中国電信がカバーすることになった。移動電話については、中国移動通信と中国聨合通信の2社が中心となった。分割の結果、経営危機に直面した固定電話会社は小霊通と呼ばれるPHSサービスを行い、固定電話の端末に狭いエリアの移動電話サービスが付加された形で、移動電話の商圏に入り、そのシェアを奪う形で利用者を急増させた。

移動電話については第三世代(G3)の携帯電話技術(ITUの定めるIMT−2000に準拠したデジタル方式の携帯電話)について中国ではTD−SCDMAの方式を採用することがほぼ決定した。

一方、携帯電話の端末機については、モトローラ、ノキア、エリクソン、サムソンなど欧米韓の巨大企業および一部日本企業が参入したが、日本企業は撤退を決定したところが多い。

このような中国内外の業界プレイヤーが激しい技術開発競争を繰り広げ、技術標準を手中に握ろうとし、逆にアライアンスにより市場参入しようとする中で、電気通信分野の特許出願動向から、彼らの開発戦略を分析する。

 

第4報告 16:1017:00

報告者 今道幸夫(大阪市立大学大学院)

討論者 岑智偉(京都産業大学)

テーマ 中国における通信機器産業の確立に関する研究

――特許データの分析を中心に――

【要旨】中国製通信機器(電話交換機、ルータ等)は今や世界市場においてトップシェアを占めている。従来、通信機器を製造するには高度の技術的経験と専門知識が求められるため、通信機器は限られた先進国の企業によって製造されていたが、1990年代後半から中国企業が登場し、短期間でトップシェアを獲得した。

先進国の通信機器製造企業はベルが電話機を発明して以来、特許を市場競争の強力な武器にして、後発者の新規参入を妨害してきた。1985年に中国において特許制度が導入されたことは先進国企業にとって、中国市場における競争優位を確立する絶好のチャンスであった。しかし、先進国企業は多数の特許で強力な「特許の壁」を中国で築く前に、中国企業の驚異的な成長を許すことになった。では、「特許の壁」を何故築くことができなかったのか、それがなかったことによって産業形成にどのような影響を与えたかを、デジタル交換機に関する特許データを基に分析する。